【その1:ゲームセット】
休日、混み合った新幹線に乗ったときのこと。自由席は満員で通路に立つしかない。
こういうこともあろうかと持ってきたゲーム機を取り出してピコピコとゲームにいそしむ。
すると,となりにいた小学生のこどもが、
「ボクもゲームやりたい-、やりたいー!」といってぐずり始めた。
こんなとき、どうずればいいんだろう。
坊やがかわいそうだし,この騒ぎにつきあわされる他のお客さんにもご迷惑だから、ゲーム機をしまうのが妥当なところだろうか。
それとも、やさしく「よかったら、どうぞこれで遊んでね」とゲーム機を貸してあげるのか。
だが、おいらの塩からーいノーミソは、こう叫ぶのだ。
(そんな泣き落としなんかにくじけるもんか。やめないぞ。絶対やめないぞ。だって、こういう混雑と退屈になりそうな状況を考えてわざわざ家からゲーム機を運んできたんだもん。やめない。絶対に遊び続けてやる!)
こどもの声「あーん、ボクもやりたい!」
お母さん「だめよ。よその人のものなんだから」
こども「だって、やりたいんだもん」…延々と続くやりたい攻撃。
あ~あ、根負け。ゲーム機をしまってふてくされ、ガキをにらみつける、ガキみたいなおいら。
【その2:ゲーム屋さん】
ゲーム屋さんで前から欲しかったソフトを手にし、レジでお金を払おうとしたそのときだった。すぐ脇でウインドーをながめていたらしいこどもが、おいらにこういったのだ。
「あのね、そんな高いゲーム買っちゃいけないんだよ!」
おいら、しばし絶句。
なんとか切り返そうと返答を考える。
(あのな、これはな、おいらの甲斐性で買うんだぜ。「かいしょう」といってもわからんか。稼いだ金で買うってことよ。それがオトナの醍醐味ってもんよ。えっ? 「だいごみ」も知らん? それがわかるようになるのがオトナじゃ。あんたも、はようオトナになりーや。)
…てなことを思いついたが、さすがに口には出さないでおく。
そのあとおいらは、買ったばかりのゲームソフトをこれ見よがしにこどもの目の前でちらつかせ、勝利のVサインをして立ち去る…はずだった。
だが実際は、新品ピカピカのゲームソフトを大急ぎでカバンにしまい込み、子どものやけるような熱視線から目をそらしつつ、そそくさと店をでたのだった。
さてそれからは、ゲームソフトを買うときや車内でゲームをするときには、あたりに子どもがいないかどうか確かめるようになったのである。
オトナになったなあ、おいら。
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